ロコモティブシンドローム予防|運動と食事の実践法

運動

「最近疲れやすくなった」「通勤の階段がつらい」と感じていませんか。

ロコモティブシンドロームは、高齢者だけの問題ではありません。

この記事では、40代から取り組むべき具体的な運動方法と食事法をわかりやすく解説します。

痛みがある場合の対処法や、テレワークなど今の生活スタイルに取り入れやすい方法もあわせて紹介します。

ロコモティブシンドロームとは

ロコモティブシンドロームは、加齢に伴い骨や筋肉、関節などの運動器が衰え、歩行や立ち座りといった日常の動作が難しくなる状態を指します。

40代から予防を意識することで、将来の要介護状態を防げる可能性が高まります。

ここでは、ロコモティブシンドロームの基本的な定義と、40代から予防に取り組むべき理由、放置した場合に起こりうるリスクについて解説します。

ロコモティブシンドロームの定義

ロコモティブシンドロームとは、骨・関節・筋肉・神経といった運動器の機能が低下し、立つ・歩くなどの移動能力が低下した状態を指します。

日本整形外科学会が提唱した概念で、要介護の原因のひとつとされています。

運動器は、以下のような役割を担っています。

  • 骨:体を支える
  • 関節:曲げ伸ばしの動きを生み出す
  • 筋肉:体を動かす力を発揮する
  • 神経:筋肉に動きの指令を伝える

これらのいずれかに衰えが生じると、階段の上り下りや長時間の歩行がつらくなるなど、日常動作に少しずつ影響が出始めます。

自覚症状が乏しいまま進行しやすい点が、ロコモティブシンドロームの特徴です。

40代から予防が重要な理由

ロコモティブシンドロームは高齢者だけの問題ではありません。

運動器の衰えは自覚できる不調が出る前から少しずつ始まっており、40代はまだ体の変化に気づきにくい時期です。

この時期に何も対策をせずに過ごすと、50代・60代で運動機能の低下が一気に表面化し、回復に時間がかかる場合があります。

反対に、早い段階から軽い運動や生活習慣の見直しに取り組めば、将来の運動機能の低下を緩やかにできる可能性があります。

「まだ大丈夫」と感じている今の時期こそ、予防に取り組む価値があるのです。

放置すると将来どうなるか

ロコモティブシンドロームが進行すると、日常生活のさまざまな場面に支障が出始めます。
最初は階段の上り下りや重い荷物を持つことが億劫に感じる程度でも、進行すると以下のような状態に至ることがあります。

  • 歩行時に杖や手すりが必要になる
  • 転倒しやすくなり骨折のリスクが高まる
  • 要支援・要介護の状態に至る


実際、要支援・要介護になった原因の上位には、運動器の障害が挙げられています。

参考:2025(令和7)年 国民生活基礎調査 介護の状況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/dl/05.pdf


理学療法の現場でも、一度大きく機能が低下すると、元の状態に戻すまでに長い期間を要する方を数多く見てきました。
早期の段階で気づき、対策を始めることが、将来の生活の質を保つことにつながります。

ロコモ度セルフチェック

自分がロコモティブシンドロームに近づいているかは、簡単なテストで確認できます。

特別な器具がなくても、自宅で今すぐ試せる方法があります。

ここでは、体の状態を手軽にチェックできる2つの方法をご紹介します。

ロコチェック

ロコチェックは、日本整形外科学会が提唱する7項目の質問に答えるだけで、運動機能の低下を確認できる方法です。

以下の項目のうち、ひとつでも当てはまればロコモティブシンドロームの可能性があります。

  • 片脚立ちで靴下がはけない
  • 家の中でつまずいたり滑ったりする
  • 階段を上るのに手すりが必要である
  • 家のやや重い仕事が困難である
  • 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
  • 15分くらい続けて歩くことができない
  • 横断歩道を青信号で渡りきれない

特別な器材を使わず、思い出しながら答えるだけで確認できる手軽さが特徴です。

少しでも当てはまる項目があれば、次に紹介するロコモ度テストで詳しく確認してみましょう。

ロコモ度テスト(立ち上がり・2ステップテスト)

ロコモ度テストは、下半身の筋力と歩行能力を数値で確認できる方法です。
自宅にある椅子やメジャーがあれば、以下の2種類のテストを実施できます。

テスト名内容確認できる項目
立ち上がりテスト決まった高さの台から片脚または両脚で立ち上がる下半身の筋力
2ステップテストできる限り大股で2歩歩き、歩幅を測定する歩幅・バランス能力

立ち上がりテストでは、40cmの台から片脚で立てない場合、筋力の低下が疑われます。
2ステップテストでは、2歩分の歩幅を身長で割った数値が1.3未満の場合、歩行能力の低下が疑われます。
どちらのテストも自己判断の目安として活用しつつ、気になる結果が出た場合は整形外科への相談も検討しましょう。チェック方法の詳細はこちらを参照してください

・日本整形外科学会 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト

https://locomo-joa.jp/check/test/stand-up

ロコモティブシンドローム予防の運動

ロコモティブシンドロームの予防には、下半身を中心とした運動が効果的です。

特別な道具がなくても、自宅の限られたスペースで取り組める運動が中心となります。

ここでは、日本整形外科学会が推奨する代表的な運動と、続けやすくする工夫をご紹介します。

スクワット

スクワットは、太ももやお尻など下半身全体の筋力を鍛えられる運動です。

歩行や立ち座りに必要な筋肉を効率よく使えるため、ロコモティブシンドローム予防の基本種目とされています。

正しいフォームで行うポイントは、以下のとおりです。

  • 足を肩幅程度に開いて立つ
  • 膝がつま先より前に出ないよう意識する
  • お尻を後ろに引くように腰を下ろす
  • 太ももが床と平行になる程度まで下げる

リハビリ現場で指導していると、姿勢を正そうして上体を起こしすぎてしまう方が多いです。背筋を伸ばしつつ、股関節から自然に前傾するようにしましょう。

片脚立ち

片脚立ちは、バランス能力を養い、転倒予防につながる運動です。

片方の足に体重を乗せる動作を通じて、股関節周りの筋肉や体幹を鍛えられます。

やり方は、以下のとおりです。

  • 壁や椅子の近くで安全を確保する
  • 床につかない程度に片脚を上げる
  • 姿勢をまっすぐ保ったまま1分間キープする
  • 左右の脚を入れ替えて同様に行う

ふらつきやすい場合は、テーブルや手すりに軽く手を添えながら行うと安全です。

慣れてきたら、支えなしで行う時間を少しずつ延ばしていきましょう。

運動習慣を続けるコツ

運動を続ける上で大切なのは、生活の中に自然に組み込むことです。
やる気に頼った習慣は長続きしにくく、忙しい時期には途切れやすい傾向があります。
続けやすくするための工夫は、以下のとおりです。

工夫具体例
時間を固定する歯磨き後や入浴前など習慣とセットにする
記録をつけるカレンダーやアプリを利用してチェックを入れる
完璧を求めない1日サボっても翌日再会すればよいと考える
仲間を作る家族や友人と一緒に取り組む

理学療法の現場でも、継続できている方の多くは、毎日決まったタイミングで運動を組み込んでいます。
最初から完璧を目指さず、小さな習慣として積み重ねることを心がけましょう。

膝に痛みがある場合の対処法

腰に痛みがあっても、運動そのものを諦める必要はありません。

痛む部位や動きへの負担を避けながら、体を動かす方法はいくつもあります。

ここでは、痛みがある場合でも取り組める代替運動と、病院を受診すべき痛みの目安をご紹介します。

痛くてもできる代わりの運動

痛みがある場合は、関節への負担が少ない運動に切り替えることが大切です。

理学療法の現場でも、膝に痛みを抱える方には、体重をかけずに行える運動を提案することが多くあります。

代表的な代替運動は、以下のとおりです。

  • 椅子に座って膝を伸ばす運動
  • 仰向けで膝を伸ばし、片脚を持ち上げる運動
  • 水中でのウォーキング
  • 座ったままできる足首の上下運動

これらは関節に体重の負荷をかけにくく、痛みが出にくい姿勢で筋力を維持できる点が特徴です。

運動中に痛みが強まる場合は、無理に続けず、範囲を狭めたり回数を減らしたりして調整しましょう。

病院を受診すべき痛みの目安

痛みの中には、自己判断で様子を見てよいものと、早めの受診が必要なものがあります。
この判断に迷う方は多くいると思います。ぜひ参考にしてみてください。
受診を検討すべき目安は、以下のとおりです。

状態目安
痛みの持続時間安静にしても2週間以上続く
痛みの強さ夜間や安静時もズキズキ痛む
腫れ・熱感関節が腫れている、熱を持っている
しびれ足先や太もものしびれがある

一方で、動かし始めに軽く痛む程度で、数分の運動後に和らぐような痛みは、様子を見ながら運動を続けられる場合が多いです。
判断に迷う場合は自己対応を続けず、整形外科で一度確認してもらうと安心です。

ロコモティブシンドローム予防の食事

ロコモティブシンドロームの予防には、運動だけでなく食事の見直しも大切です。

骨と筋肉の材料となる栄養素を意識的に摂ることで、運動の効果をより発揮しやすくなります。

ここでは、骨と筋肉それぞれを強くするために意識したい食事のポイントをご紹介します。

骨を強くする食事

骨を強く保つには、カルシウムとビタミンDを組み合わせて摂ることが効果的です。

カルシウムは骨の材料そのものであり、ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあります。

意識して取り入れたい食材は、以下のとおりです。

  • 牛乳やヨーグルトなどの乳製品
  • 小魚や桜えびなど骨ごと食べられる魚介類
  • 鮭やさんまなどビタミンDを含む魚
  • きのこ類

これらを毎日の食事にバランスよく取り入れることで、骨密度の維持につながります。

特に日光を浴びる時間が少ない在宅勤務の方は、食事からビタミンDを補う意識を持つとよいでしょう。

筋肉を強くする食事

筋肉を維持するには、材料となるたんぱく質を毎食しっかり摂ることが重要です。

運動でせっかく筋肉を刺激しても、材料となる栄養が不足していると、筋力の維持や向上にはつながりにくくなります。

たんぱく質を多く含む食材は、以下のとおりです。

食材タンパク質量の目安(100gあたり)
鶏むね肉(皮なし)約23g
卵約12g
納豆約16g
豆腐(木綿)約7g

一度に大量に摂るよりも、朝・昼・夜の3食に分けて摂取するほうが、筋肉の合成に効率よく利用されます。

外食や中食が続く場合も、主菜にたんぱく質源を1品加えることを意識すると、無理なく続けられます。

テレワーク中にできる予防習慣

テレワークは通勤による歩行機会が減り、運動器の衰えが進みやすい働き方です。
一日中座りっぱなしになりやすい環境だからこそ、仕事の合間に体を動かす工夫が求められます。
在宅勤務中でも取り入れやすい予防習慣は、以下のとおりです。

  • オンライン会議中に椅子に座ったまま片脚立ちを行う
  • 休憩時間に階段の上り下りを取り入れる
  • 1時間に1回は立ち上がり、その場で軽くスクワットをする
  • 郵便物の受け取りや水を飲む際は、意識的に離れた場所まで歩く


これらは特別な時間を確保しなくても、仕事の区切りに合わせて自然と実践できる点が特徴です。
最初から毎日完璧に行おうとせず、気づいたタイミングで1つでも取り入れることから始めると、無理なく習慣として定着しやすくなります。

まとめ:ロコモティブシンドロームを正しく理解して今日から予防を始めよう

ロコモティブシンドロームは、40代からの対策次第で進行を緩やかにできます。

セルフチェックで自分の状態を把握し、スクワットや片脚立ちなど無理のない運動から始めることが大切です。

痛みがある場合は代替運動や受診の目安を参考にしながら、食事の見直しやテレワーク中の工夫も取り入れましょう。

小さな習慣の積み重ねが、将来の健康な体につながります。

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